放射線科診断志望の人に薦めたい病院見学のポイント

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こんにちは「らじまま」です。

放射線科志望の後輩に

「どこの病院がいいですか?」

と聞かれたことがあったので行きたい病院の見つけ方のポイントを自分なりにまとめてみました。

以下の方におすすめの記事です。

放射線診断医志望である。
将来は研究で成果を出すより現場で画像診断医として働いていきたい方。

体制変更などもあり得るので具体的な病院名については言及していません(お問い合わせでも対応しかねますのでご了承ください)。

今回紹介するポイントはあくまで「画像診断医見習い・専攻医」としての病院探しについてです。
「希望する働き方」についての話ではありません。

また修練機関など専門医となる要件についてはご自身で学会ホームページ等でご確認ください。

働き方の希望の例としては
●経済的な豊かさを追求したい(給与面での高待遇)
●QOLを最重視
等ということについては言及していませんのでご了承下さい

画像診断医「見習い」のときはこんな病院がオススメ(私案)

主要な検査が全て揃っている病院

CT、MRI、レントゲンは勿論、核医学(PETも含める)、IVR,超音波検査、消化管造影が揃っているところです。

理由は大きく分けて2つです。

1.見習いのうちに主要な検査画像はある程度見慣れておくほうが良いから。

放射線科は他科からの問い合わせが多い科ですが、中でも「画像所見」についての問い合わせが最も多いと思われます。

このとき、まだ診断専門医ではないにしても相手は「放射線科医への相談」としてアドバイスを求めてきます。

まだ放射線科専攻医となって日が浅すぎたり、専門性が高い質問で全く分からなければ「分からない」と答えざるを得ないのですが、専攻医となって数ヶ月経っていたり基本的な内容であれば「私はこのように思う」と自分の見解を述べたうえで「しかしまだ専門ではないので後ほど上司に相談します」と答える方が相手に「なんだ放射線科医なのに全く分からないのか」という評価繋がりにくくなります。

何より自分なりに評価してみることが診断医としても成長する糧となります。

そして、専門医試験でも「見慣れていること」は有利に働きます。特に診断専門医試験画像診断の問題がメインですので、ほとんど見たことない人と見慣れている人とでは圧倒的に勉強効率が違ってきます。

2.全部が揃っていると1施設で研修が完結できるから

主要な検査のいずれかが無い場合、または超音波検査消化管造影のように検査そのものを検査技師が行い、医師は2次読影だけしていて専攻医の実技研修が困難な場合は該当部門について他の病院で研修することがあります。

ただ出来れば同一施設内でできるほうが楽」です。
電車やバスなどの移動がなくて済むのは勿論、同じ病院内のスタッフと顔見知りになりやすく、いつでも質問がしやすい環境になるからです。

各分野においてエキスパートな放射線科医が在籍している

放射線科医は一人で診断してレポートを作成することが多いですが、完全な独学で成長するのは一部の天才的な読影医でさえも最初は難しいと思います。
「守破離」という言葉があるように、最初は誰かを参考にする必要があります。

その際に各分野に専門としている読影医がいる場合は大きな助けとなります。

例えば、IVR専門の医師がいる場合、血管内治療が必要な症例のCTについて

「画像の何を重視してレポートしているのか」

「どういったときにIVRをレコメンドしているのか」

 

といった教科書には載っていないような判断基準が参考になります。

現在の画像診断は血液検査のような客観的評価ではありません(数値化されているものは除く)。
主観的評価がまだ大半なのが現状で、人によって微妙に評価が違ってきます。
ごく典型的な画像所見でない限り、白黒はっきりした診断ができない「グレーゾーン」が非常に広いのが今の画像診断です(しかし他科の医師からは客観的評価であると勘違いしていそうな依頼がとても多いですが)。

その診断、評価を大きく外さないようにするには自分の中の「基準」が必要です。

エキスパートの先生がいれば、レポートを見たりや質問をすることで段々とその「基準」が見えやすくなっていきます。

どんな「教育」を行っているか

今回一番主張したいところでもあります。
というか自分もこの点をもっと重視しておくべきだった、、、と今更ながら思っています。

もしこのページをご覧になっている方が
「個別指導や塾など行かなくても独学で医学部合格できた」ような方なら、この項目は無視してくださっても良いと思います。

私のように、「誰かから教えてもらうことでステップアップができる」という方ならこの項目はとても重要だと思います。

各(総合)修練機関や基幹施設では放射線科医育成のための「教育」が何かしら行われていると思います。

大きく分けると

  • 「集団講義」
  • 「個別指導」

です。どちらもそれぞれメリット、デメリットがありますが、読影のレベルを上げるには「個別指導」タイプの教育の方が効果が高いと思います。

先に話したように画像診断には広いグレーゾーンが存在します。その中でどう評価し、どんな言葉を選択してレポートを書くべきかという基準をもつことが重要です。

難しい疾患を当てるような「ホームラン」は少なくても、空振り三振がほとんどなくヒットを量産できる人のほうが結果的に「この先生のレポートであればまぁ外れた方向への診療にはならないだろう」という「安心感」が生まれます。

また、現在の画像診断、特にCT,MRIの読影量はとんでもなく多くなってきています。(参照記事:放射線科医のQOLは高い?放射線科医だからこその悩みも)

よってあまりにも多忙で、日常業務の中で教科書を開きながら丁寧に学んでいくことが難しくなってきています

更に非常に細かいCT、MRIが撮られるようになったことで、教科書にも載っていないようなちょっとした偶発所見に遭遇することが多くなっています

そんな環境の中で、エキスパートの先生がマンツーマンで一緒に読影してくれるタイプの教育を行こなっているところであれば

「こんな小さな所見だけどこれって異常?

わざわざレポートに書くほどなのか?

大丈夫と判断して後々重大な転帰につながってしまわないか?

反対に過剰な追加検査に繋がらないか?

どんなことを考えてこのレポートは書かれているのだろう?

読影医の意図解釈の仕方を知りたい。

といったことでもその場で質問して専門家の意見を聞くことができます。

読影は所見に対する判断の連続です。こういった小さな積み重ねが後々非常に大きなものになってきます。
所見に対する対処法を持つことは、どんな画像の依頼でも対応できるという自信につながるし、読影効率が上がりやすくなります。

どんな「個別指導」が理想的か

私自身は実際に読影しながら臓器/診療分野ごとに分かれて直接指導して頂ける施設一番おすすめです

例えば、胸部画像診断が専門の先生が胸部のCT画像について隣同士で読影しながらマンツーマンで指導してくださるようなところです。

日本の放射線診断は1つの検査で撮影されたすべての範囲について読影する「ジェネラリスト」のような読影スタイルが一般的ですが、なかには各部位の専門家が該当部位の読影について直接指導してくださる体制を整えている病院もあります。

エキスパートの先生の知識と読影の仕方を直接学べることで自分の読影により磨きがかかりやすくなります。

もちろん、指導してくださる先生の中にも指導自体が苦手だったり、相性が合わない先生もいるとは思いますが、自分の読影医としての成長を考えれば個別指導体制の方が読影医としての画像の見方・レポートの書き方を学ぶことができます。

読影のレベルを上げることは今後さらに重要に…

これからはAIによる診断支援が広がっていくと思われます。
まだトライアルの段階ではありますが、AIによる新型コロナウイルス肺炎のCTの診断支援が始まっています。

COVID-19肺炎AIの無償支援プロジェクト拡大と重症化予測AI開発のお知らせ

エムスリー株式会社プレスリリース(2020/9/30)

これからは「いないよりはマシな診断医」というレベルでは長い間画像診断医としてやっていくことが難しくなると思います。

誰もが知る著名な読影医にいつかはなってみたいと憧れる方も多いと思いますし、そのための情熱と努力は失くさないで欲しいですが、実際に「天才的」な先生方を見ていると非常に険しい道ということは容易に想像がつきます。

一方で「大きく外すことがほとんどない読影医」を目指すことも決して簡単ではありません。しかし読影に安定感のある診断医も臨床医からの評価は高くなりやすいです。

 

まとめ

今回は行きたい病院でのチェックポイントについて私案ですがご紹介させて頂きました。

専攻医の時に行きたい病院選びのポイント

主要検査が揃っている
●各分野のエキスパートが揃っている
「個別指導」型の教育を行っている(個人的には非常に重要なポイントと思っています)

とはいえ、シーリングもあり全員が行きたいところに行けるわけでもなくなっているのが心苦しいところです。

上記の3ポイントが揃っている病院は既に人気の可能性が高く、試験を課すなど狭き門となっているところもあります。

このコロナ禍で見学もままならず厳しい状況ではありますが、将来を決める重要な時期でもあるので、気になる病院には上記ポイントに関して問い合わせ質問をしてみると良いと思います。

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