こんにちは、「らじまま」です。
今回は診断専門医試験におすすめの本を紹介していきます。
数多くの画像診断の本が出ていますが、成書~教科書、参考書のような本に至るまで様々です。
ここでは出来るだけ使いやすかった本を紹介させて頂こうと思います。
また、近年ではKEY BOOKシリーズの新刊や別の新シリーズ本、改訂本などが続々と出版されており、画像・説明ともに分かりやすい内容になってきています。
例えばメジカルビュー社から出版されている、勘所シリーズの新たな「画像診断の勘ドコロneo」や「IVRのすべて」など続々と登場しています。
新しい本については検証が難しいため現在のところあまり掲載していませんので、ご了承ください。
*あくまで”個人的におすすめ”の本の紹介ですので、本を購入するかといったことはご自身の判断でお願いします。
*買ったのに「分かりにくかったじゃないか!」とか「試験に有用じゃなかったじゃないか!」などの訴えについては責任を負いかねます。。。
*「これが使いやすかった!」といったご意見あればお問い合わせフォームからご連絡いただけると助かります。
神経
よくわかる脳MRI(第4版)
放射線科医なら誰もが知る本だと思います。読影室にも必ず1冊は置いてある本かと。
網羅系の本なので、分からないときに「辞書」のように使っていました。
疾患ごとに改ページになっているので、「目次からすぐに探しやすい」という点で使いやすかったです。
月刊画像診断 脳腫瘍診断 up date 2020
脳腫瘍についてまとめられています。
内容はWHO脳腫瘍分類が2016年に改訂され、分子・遺伝学的な研究が進む中での最新の脳腫瘍画像診断を軸とした内容となっているので、この号の中身そのものは診断専門医試験のレベルは超えていると思います。
ただ、脳室内腫瘍についてまとめて列挙されていたり、画像所見の中でも重要な文章にはマーキングがついているため、「画像的特徴」を主軸に置いた診断専門医試験対策にも有用だと思います。
*例えば、2020年出題の「ある脳室内腫瘍」に特徴的な進展の仕方があるのですが、その文章にはマーキングがされています。そして試験問題では実際にその特徴を表した画像が提示されています。
画像診断2018年3月増刊号 頭部の鑑別診断のポイント
「神経」の分野ではFLAIRや拡散協調像が提示され、異常信号の分布から診断させる問題がよく出ています。
この本では画像所見から診断するという観点で信号異常の特徴ごとに疾患がまとめられているので、鑑別がしやすくなるかと思います。
エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版
言わずとしれた「名著」と呼ばれている本です。
脊椎・脊髄に的を絞った教科書といえばこの本でしょう。読影室には必ず1冊は置いてあるかと思います。
網羅系でページ数920とかなりボリュームがあるので、携帯性は低いのと疾患を調べるのにやや手間はかかりますが、脊椎・脊髄疾患系の対策としてはほぼこの本で十分かと思います。
ただ、お値段がそれなりですので、自宅用にも購入するか読影室で業務時間外に利用することにするか、、、悩ましかったところではあります。
血管解剖が苦手な人におすすめ
NEW ATRAS FOR ANGIOGRAPHY 新血管造影アトラス(非売品)
「神経」の問題ではCTやMRIではなく脳血管造影の画像が呈示されることがあります。
動脈の場合も静脈の場合もあり。ただ、日ごろからMRVや血管奇形を見慣れていない場合、そもそもどこが異常なのか分からないかと思います。
この「新血管造影アトラス」は全身各部位の血管造影(正常像)とイラストが見開きページでそれぞれ並べて掲載されており、血管造影・イラストそれぞれにどこが何という血管名かが記載されています。
脳の領域では内頚・椎骨動脈、外頸動脈系、脳静脈(テント上・下)が掲載されています。
ほかにも心臓や体幹部、四肢に至るまで載っています。
ページ数もさほど多くなく、各部位ごとに出版されている血管解剖本に比べると物足りないとは思います(IVRをこの本だけでやるのは厳しい)が、主要な血管はしっかり載っています。
なかなかこういう1冊で全身各部位の「血管造影+イラスト」を並べて分かりやすくまとめてくれている本って無いんですよね(私が見つけられていないだけかもしれませんが)。
ただこの本の最大のデメリット・・・・「非売品」なんです!!ちなみに出版元はオムニパークでおなじみの「第一三共株式会社」さんです。
もう少し手を加えてアトラス本(商品)として出版したら買う人結構多いんじゃないかと勝手に思っているんですが…
出版されてから10年以上経過しているようなので、読影室のどこかに眠っているかもしれません。。。余裕があれば探してみてください。
画像解剖コンパクトナビー医学生・研修医必携
血管造影のアトラスが掲載されているということでこちらも紹介させて頂きます。
2013年出版の本なので初期研修医のときに既に購入している方もいると思います。
こちらの本にも脳血管や冠動脈(少々),腹部、下肢血管などの血管造影(DSA)の画像が掲載されています。
骨軟部
KEY BOOKシリーズ「骨軟部疾患の画像診断」第2版
診断専門医試験勉強におすすめなKEY BOOKシリーズの骨軟部編です。知っている人が多いと思います。KEY BOOKシリーズのいいところは掲載されている「写真が大きい」点にあります。
診断専門医試験は画像での出題がメインなので、画像の特徴がはっきりと見えるほうが分かりやすいと思います。
この「骨軟部疾患の画像診断」では骨腫瘍も掲載されているので、試験勉強でも役に立ちました。
画像診断2016年9月増刊号 「軟部腫瘍の画像診断」
軟部腫瘍についてまとまって掲載されています。
1疾患につき見開きで画像掲載1ページ、説明1ページとなっています。(KEY BOOKシリーズも同じようにページ配分が整理されていてパッと検索しやすいので、時間が限られる試験勉強の時は重宝していました。)
頻出問題の筋サルコイドーシスの特徴的画像所見も掲載。ほかに2019年新出の筋膜炎についても掲載されています。
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断 改訂版
骨軟部分野ではかならず「外傷」が出題され、なかでも骨折については頻出です。
この本では骨折のレントゲンやCT画像、シェーマ、骨折の分類と説明、診断のポイントが全身の骨折に関して掲載されています。
画像には所見の部分に矢印、レントゲンでは部位の名称が示されているので理解しやすかったです。
*掲載されている分類全てを覚えるというのは難しいですが、問題文や選択肢で分からなかった骨折や分類についてはこちらで調べました。
骨関節画像診断入門 第4版
タイトルの通り、全身の骨関節に関しての入門書です。
個人的には骨腫瘍が特に苦手な場合には有用だと思います。
例えば、軟骨芽細胞腫では
骨端部にしか発生せず、~30歳以下の患者にしか認められない
といった鑑別する際に有用な文章が簡潔に述べられている点です。
また、文中の表に”悪性腫瘍における患者の年齢分布”などが載っていることも特徴です。
また本の最後の方には多発溶骨性病変や骨端の溶骨性病変の鑑別リストなどがまとめられた「鑑別診断リスト」があるので、こちらも知識の確認用等に使えるかと思います。
*ただし、掲載画像はレントゲンがメインでMRIは少なめです。また、人によっては既に知っているという内容(入門編ですからね)ですので、試験勉強で必須というよりは苦手意識が強い人におススメです。
IVR
IVRマニュアル 第2版
IVRの手技をコンパクトにまとめた網羅系の本です。IVRローテート前に購入して既に持っているという方も多いと思います。
手技や適応だけでなく、口頭試問でも問われやすい手技に伴う合併症も掲載されているので試験勉強によく使わせて頂きました。
ただし、実際のIVR画像の掲載は乏しく、手技そのものを想像して理解するというよりは事前に「知識をインプットする」系の本です。
皆伝!! IVRの知恵
2018年出版の本です。主にvascular IVRについて掲載されています(non-vascular IVRも少々掲載あり)。
特筆すべき点はシェーマが多く、また実際のIVRの画像が提示されているため手技を理解しやすい構成になっていることです。
”血胸の原因となる動脈”など各病態での責任血管も図でしっかり掲載されているところもあり、初学者でも理解しやすいように作られている「親切な本」というイメージです。なので、IVRが苦手な人にもおすすめです。
ただし、「合併症」の記載は少ないため、ここは先述の「IVR」マニュアルなどで補強する必要があります。
どうしても動画の血管造影が見たいとき
IVRが苦手すぎて目を慣らしたいから、とりあえず血管造影の動画が見たい・・・・という方に。
一番のおススメはやっぱり、読影室で実際のIVR画像を見て見慣れること!!!です。
ほぼこれに尽きるのですが、動画がみられるIVR本もありますっていうことで紹介だけしておきます。
救急IVR手技詳説 with WEB 動画 (臨床放射線 2018年11月臨時増刊号)
救急IVRに焦点を当てた本です。
QRコードが掲載されており、本で紹介されている症例の動画の一部が見られるようになっています。
本自体の内容は病態や手技の基本的な説明や、実際の症例に関する説明が記載されています。IVRの手技そのものは上述の2冊でいいかなと思いますが、動画がみられるっていうのが珍しいですよね。
ただお値段もそれなりで、私自身は試験対策に必須というよりは動画がどうしても見たい場合かな~という印象でした。ので、購入するかは要検討してください。
まとめ
以上、診断専門医試験対策におすすめの本を紹介させて頂きました。
人によって持っている知識や見慣れた画像は違って、理解しやすい本も個人差があると思いますが、
大量にある放射線科の本の中から逐一探し出すよりも「こういう本があるんだ!」「これは診断専門医試験の範囲をカバーしている本なんだな、自分にとっても使えそうか検討してみるか」という感じでお役に立ててもらえるとありがたいです。
受験生の皆様の合格を祈念しています。皆さん頑張ってください!