こんにちは「らじまま」です。
診断専門医試験筆記対策の「頻出問題と傾向」の核医学、胸部、乳腺、小児の範囲ついてまとめています。
前段階の専門医試験のときはどちらかというと「知識」を問う問題が多かったですが、診断専門医試験ですのでやはり「画像」から診断させるのがメインとなっています。
- 出題年度の記載について。「同一問題」という意味ではなく疾患や周辺知識含めた関連問題という意味です。
- 星「★」の数は基本的には2015-2020年での頻度からつけているものです。厳密な定義はありませんのでご了承ください。
- 頻出問題名については特定の疾患や問題で分類できないときは項目(例えば【骨軟部】では「骨折」に関する問題 など)で分類しています。
*主に2015-2020年診断専門医試験からまとめたものです。2014年以前については一部のみの記載です。
診断専門医試験対策part3は以下の記事をご覧ください↓
それでは各分野ごとに頻出問題と傾向を見ていきましょう!
各分野(基礎を除く)の頻出問題・傾向
2013~2020年筆記試験問題から
頻出問題についてまとめてみました。急いで作ったのでごちゃごちゃですが、適宜訂正していこうと思います。。。ただ分野が多くて作成には時間がかかりそうなので、逐一更新にします。
核医学
核医学は範囲が広いです。全身のあらゆる核医学検査について出されています。内用療法も出されるようになってきているなど、さらに幅が広がってきています。
ほぼ毎年出題されているシンチは脳血流と心筋血流シンチです。まずこの2つの検査が核医学分野の序盤でそれぞれ出題されています。
★★★この核種は「何か」問題
核医学の中では最頻出となっている問題です。受験生の間でも割れ問になりやすい悩ましい問題の一つです。
2019年では選択肢に核種が含まれているものも合わせると5問も出題されています。
特に全身プラナー像での出題で解答が割れやすくなります。それだけ受験者の頭を悩ます問題になりやすいということです。
さらに2020年では核種はわかっている前提でその検査の詳細について問われる問題が出てきており、難化したように感じました。
核種を考える問題の対策としてはまずは問題文から
1.「どんな目的で撮像されているのか」を推察する。腫瘍精査なのか、出血精査なのか等。これだけである程度核種が絞り込めます。
2.「どこに最も集積があるか。何が映っていないか」。病変とは関係ない臓器でどこが最も目立つかを確認します。例えば肝臓なのか、心臓か胃か骨なのか等。そして何の臓器・構造が映っていないのか、例えば腎臓や腸管などの核種の排泄経路系、骨や筋肉といった部分などです。
この2点から考えると結構絞れるようになると思います。
★★★脳血流spect画像による認知症診断
ほぼ毎回出されている問題です。123I-ioflupaneや123I-MIBGシンチと組み合わせると疾患特異性が挙がるのでこちらも頻出です。
*脳血流の低下部位や亢進部位に特徴があるADやNPH、I-MIBGで心臓集積低下する認知症、123I-ioflupaneでは集積低下をきたす疾患とその画像の特徴を押さえておきましょう。
ちなみに123I-ioflupneの画像に関しては日本メジフィックス株式会社HPの「ダットスキャン読影のポイント」というページが分かりやすいです。
★★★心筋血流シンチ:「虚血はどこかor責任血管はどれだorどんな病態か」問題
心筋血流spect(短軸や長軸像)+壁運動解析画像の組み合わせが頻出。
血流低下部位把握、支配血管を覚えておく、どんな病態があるかをおさえておきましょう。
★★★甲状腺シンチ
画像を見て可能性が高い疾患を問う問題が頻出。
部分的なものやびまん性も含め、集積亢進or集積低下する疾患を把握しておくこと
きちんと把握しておけば難易度はそれほど高くはない印象。
なかでもプランマ―病/機能性結節性甲状腺腫は頻出疾患(2014,2017,2019年)
★★★骨シンチ
骨転移関連の問題だけでなく、集積亢進を示す良性疾患も頻出となっている。
★★★ワルチン腫瘍
2013,2015,2017,2020年出題
唾液腺シンチグラフィでの問題です。2017年では診断に必要な核種が問われています。
★★FDG-PET:集積部分を見て「どういう状況でとられている画像か」答える問題
集積している部分から状況or病態を問う問題。
例えば、運動直後とか褐色脂肪細胞への集積とか。疾患とは異なるいわゆるピットフォールです。
肺・縦隔
★★★肺胞蛋白症
画像そのものは特徴的なので覚えやすいと思います。
ただ、特徴的なCT所見から「診断名を答えるだけ」のときと、検査所見などの周辺知識を問うときがあるので、画像だけでなく他の臨床所見も確認しておきましょう。
★★★アスペルギルス関連の肺疾患
アスペルギルス関連の画像はかなり頻出です。おさえておくべき疾患群です。
CT画像から疾患を答えることがほとんどで難易度はあまり高くない。
★★★気管支閉鎖症、肺分画症
画像が提示され、これらが1つの問題の中で選択肢となっておりどれか一つ選ぶような問題が頻出となっています。
解答が割れ問になることもあるのですが、問題としては出しやすいのでそれぞれの疾患概念・画像、特にそれぞれの違いは把握しておいた方がよいでしょう。
★★★胸部レントゲンの問題
胸部レントゲンのみをみて答える問題です。頻出というより毎年必ず出すようになっているんだと思います。
縦隔腫瘍やレントゲンの特徴的な「サイン」を見抜き、その周辺知識などを聞く問題が多い。
レントゲンのサイン自体は多数ありますので、サルコイドーシスや無気肺など少なくとも過去問に出ているものは押さえておきましょう。
対策におススメの本はこちらの記事「試験対策用の本①」をご参照ください
★★★続発性肺水腫
2013,2016,2017年出題。関連疾患として2014年ARDSも出題されています。
★★肺嚢胞性疾患
2017~2019年3年連続出題されています。
LAMやBHD,LCHなど。疾患概念、嚢胞の特徴・分布は押さえておきましょう。
★★珪肺
近年は出題頻度が下がっていますが、以前は頻出問題でした。過去に遡って出題する可能性はあるので確認しておきましょう。
心血管系
★★★心臓MRI「遅延造影パターン」から疾患を答える問題
心筋梗塞、心アミロイドーシス、心サルコイドーシス、心筋炎、心筋症などが選択肢として出されていることが多い。
KEY BOOKシリーズ「これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断」p.110に遅延造影パターンがシェーマとともにまとまって掲載されています。要チェックです。
★★★血管奇形系,先天性心疾患
主に造影CTで診断を問うことが多い。
冠動脈起始異常や右側大動脈弓などが出題されています。また、先天性心疾患も出題されることがありますが、過去問との被りが少なく対策がしにくいです。
★★タコつぼ型心筋症
2019年、2020年出題されています。まだ”頻出”とはいいがたいかもしれませんが、直近2年連続出題ということで載せておきます。
いずれも収縮期・拡張期のシネMRIが提示されており、心尖部が収縮期でも拡張したままであるという特徴に気が付けば解答は容易です。
ただ、また同じ問題が出るとは限らないので、周辺知識も押さえておくほうがいいかもしれません。
★★大血管の急性期病変
大動脈解離や(続発性含む)大動脈瘤が出題されています。問題の難易度としては高くない印象です。
乳腺
毎年3問ほどしか出題されないため、過去問との”被り”が比較的少ないです。
モダリティーの出題頻度としてはMMG>MRI>USとなっています。
MMG(マンモグラフィ)での出題傾向
画像から診断名を問うことが多い。
- 石灰化パターンから良性疾患や悪性疾患を鑑別させる問題
- ”構築の乱れ”から診断させる問題
MRIでの出題傾向
造影パターンから診断させる問題や特徴的なMRI所見を呈する疾患(過誤腫や粘液癌など)が出題されています。
また、これまでは画像的特徴から主要な疾患名を問う出題が多かったですが、2020年には乳癌「サブタイプ」診断や「RECIST判定」まで出題されています。
「え、RECIST」出すの!?と意表をつかれる問題でしたが、幸いなんとなくでも正解できる人が多かった問題だったようです。
JRS会員専用ページにある”放射線科専門研修ガイドライン(2018年版)の「乳房」”の項目にも”トリプルネガティブ”や”乳癌ー術前化学療法ー画像による効果判定を行える”という記載がありました。
USの出題傾向
2015~2020年の間だと2016年、2018年に各1問ずつしか出題されておらず、毎年出題という訳ではありません。
線維腺腫や葉状腫瘍などが出題されています。
「乳腺」まとめ
出題数が少ないため、知識がバラバラでまとまった勉強がしにくいですが、チェックして口頭試問の過去問と併せて勉強すると理解しやすかったです。あとは過去問10年分やればだいたい押さえられるかと思います。
ただし過去問との被りが比較的少ない分野なので2020年のように今年も意表を突く新出問題が出てくる可能性が十分あり得ます。
そういった予想外の新出問題にも対処したい場合は放射線科専門研修ガイドライン(2018年版)の「乳房」に掲載されている項目を確認して勉強しておくことくらいでしょうか。他分野に比べればそんなに項目数は多くはないです。
しかしそれも時間がかかるので余裕がない限りは効率が悪い気もします…ほどほどに。
小児
例年問題数3問(2020年除く)
各分野にわたって出題されており、過去問との被りは少ない。
画像はレントゲン>MRI、US。稀にCTもあり。
★★★消化管関連の問題
先天性食道閉鎖症Gross分類(2016,2018年出題)、肥厚性幽門狭窄(2017年)、鼠径ヘルニア嵌頓(疑い)(2018年)、Hirschsprung病(2020年)
とほぼ毎年出題されている分野です。レントゲンでの問題が最多です。ただし、肥厚性幽門狭窄症のように特徴的なUS画像が出題されていることもあります。
いずれも有名な疾患でちゃんと押さえておけば解答できる問題かと思います。
★★先天性横隔膜ヘルニア
2015年~2020年では2015年のみですが、2010年、2013年にも出題。いずれも特徴的画像から診断名を問う問題。
とりあえず、今はここまでまとめておきます。量がかなり多くなりそうなので、このほかの分野は別記事にしてまとめようと思います。
だだっぴろーーーーーい出題範囲をすべて暗記できたらいいのですが、診断専門医試験の合格率って他科の専門医試験と比較すると高い方なんですよね。
合格率だけ見るとやや医師国家試験寄りかと。医師国家試験の勉強って「みんなと同じことをする。正当しやすい問題≒頻出問題は自分もしっかり押さえておく」でしたよね。
これは放射線診断専門医試験の勉強にも概ね当てはまると思います。やはり頻出問題は原則落とさないような対策が必要です。
ただ、頻出問題のみの対策はリスクが高いので、先述のまとめで少しでも効率アップして、過去問以外でも対応できるように勉強して頂ければと思います。
番外編:予想問題!「新型コロナウイルス肺炎」は押さえておこう!
核医学に次いで出題数の多い「肺・縦隔」分野ですが、今年はさすがに新型コロナウイルスの問題が1問くらいは出るんじゃないかと予想します。
ベタな感じはしますが、やはり社会的にも注目度が高く、臨床医からの「新型コロナウイルス肺炎の診断需要」は高いと現場でも感じられている先生は多いのではないでしょうか。
放射線科の学会でもcovid-19肺炎の画像所見に関する講演は多いですよね。
昨年2020年の試験のときには出題するにはまだ確定できていない部分があった状況から、画像診断関連のデータがそろってきている今は出題しやすくなっていると思います。
少なくとも選択肢には出されても全然おかしくないです。.(責任は負えませんが、出なかったらすみません…)
日本医学放射線学会(JRS)のHPの会員向け情報の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する胸部CT検査の指針(Ver.1.0)(2020/4/24)でcovid19肺炎のCT所見を載せているので試験前には念のためこちらをチェックしておくといいと思います。ただ“Ver.1.0″とされており、今後更新される可能性があるので試験直前には再度確認しておいてください。
以上です。
まとめ
もうちょっと内容をブラッシュアップしたいなと思う部分もあるので、時間があったら更新していこうかと思います。
残りの「神経、頭頸部、骨軟部、腹部、泌尿器・産婦人科、IVR」については次の記事「放射線科診断専門医試験 筆記対策③~傾向と頻出問題~*非公式*」をご参照ください
他記事にて診断専門医試験対策に役立つ本も特集していますので是非ご覧ください。
それでは診断専門医試験受験予定の皆様、がんばってください!!