こんにちは「らじまま」です。
診断専門医試験筆記対策の「頻出問題と傾向」の神経、頭頸部、骨軟部、腹部、泌尿器、婦人科、IVRをまとめていきます。
- 出題年度も記載していますが「同一問題」という意味ではなく疾患や周辺知識含めた関連問題という意味です。
- 星「★」の数は基本的には2015-2020年での頻度からつけているものです。厳密な定義はありませんのでご了承ください。
- 頻出問題名については特定の疾患や問題で分類できないときは項目(例えば【骨軟部】では「骨折」に関する問題 など)で分類しています。
*主に2015-2020年診断専門医試験からまとめたものです。2014年以前については一部のみの記載です。
*核医学、胸部、乳腺、小児科の範囲については以下の記事をご覧ください↓
神経
毎年8問出題(2020年除く)
過去問との被りはやや少なめ。
部位としては頭>脊椎・脊髄の頻度。
★★★血管奇形
2015-2018年で連続出題。
脳動静脈奇形、静脈奇形がよく出題されています。
★★★wernicke脳症
2016,2018年出題.(それ以前では2010,2012年にも出題)。
特徴的なMRI画像(FLAIRでの提示が多い。視床内側と中脳水道周囲の異常信号画像)から診断名を問う問題。
★★脳静脈洞血栓症
2015,2017年出題。
画像から診断を問う問題
★★進行性多巣性白質脳症
2018,2019年出題。
- 問題文には数か月単位での症状進行という亜急性の経過と免疫低下しているような既往の記載あり
- 頭部MRIで特徴的画像の提示
⇒診断名を問う問題
頭頸部
毎年2-3問出題
問題数が少ないため筆記のみだと被りが少ないですが、口頭試問との被りがよくあるので、並行して勉強するのがおすすめです。
★★グロームス腫瘍/傍神経節腫
主訴の”拍動性の耳鳴り”はキーワードです。
好発部位とCT、MRIの特徴的所見も押さえておきましょう。
直近ではあまり出題されなくなっていますが、2015,2016年出題。2009,2011,2012年にも出題されています。
★真菌性副鼻腔炎
2015-2020年では2018年のみの出題ですが、2011,2012年にも出題されています。
内部に高吸収域がある特徴的なCT所見が提示されている。
骨軟部
毎年だいたい6問ずつ(2020年除く)
おおまかには腫瘍性病変、骨折に関する問題はほぼ毎年出題されています。
★★★骨折
脊椎、股関節、大腿骨など出題されている部位は様々。
例えば、
2018、2019年:大腿骨骨幹部の非定型骨折が出題されている
分類や年齢による鑑別や発生機序など色々な方向からの出題があるため外傷画像に慣れていないと対策がやや難しいという印象。
★★★筋サルコイドーシス
2015-2017年で連続出題。
特徴的なMRI所見から診断名を問われている。
★★内軟骨腫(症)
2016、2018年出題。
⇒指のレントゲンが提示されている
★類骨骨腫、滑膜性骨軟骨腫
- 類骨骨腫:2020年出題。2013年にも出題。
- 滑膜性骨軟骨腫:2015年出題。2009,2012年にも出題あり。MRIやレントゲン画像が提示
肝胆膵脾
だいたい6問前後の出題(変動あり。2020年は除く)
★★★膵SPT
この分野ではなぜかかなり頻出の問題。
2016,2017,2019年出題。
2020年については血種かSPNかで解答が割れていますが、問題文で膵の所見が”以前から指摘されている”とわざわざ書かれているということからもSPNではないかと…
★★Fitz-Hugh-Curtis症候群
2016年,2019年出題
ダイナミックCT(早期相)の提示。診断名ではなく周辺知識が問われている。
★★肝FNH
2015,2017年,2020年出題
EOB(肝細胞相)が提示され、診断名または周辺知識が問われている。
★★Rendu-Osler-Weber症候群
2016,2017年出題
CTで血管の奇形が提示され、診断名または合併するものが問われる
★★膵MCN
2016,2017年出題
cyst-in-cystの特徴的な画像が提示。また問題文が好発年齢であることもキーワードとなっている。
診断名や周辺知識が問われている。
消化管
毎年だいたい3~4問出題(2020年除く)
急性腹症はほぼ毎年出題されています。
★★★腹膜垂炎
なぜか頻出の腹膜垂炎…
2016,2018,2019年出題。
特徴的なCT所見の提示。診断名や周辺知識が問われている。
★★★腸管ヘルニア
2015,2016,2019年出題
部位は様々。坐骨孔や閉鎖孔、傍十二指腸ヘルニアなど出題されています。
★★胃アニサキス
2019,2020年出題。
急性腹症として出題されている。胃壁の浮腫性肥厚から鑑別させる問題や周辺知識が問われている。
★★静脈硬化性腸炎
2017,2020年出題
特徴的なCT画像の提示。診断名や周辺知識が問われている。
泌尿器
年によって3~6問と変動あり
全身性疾患に絡めて出題してくる率が他の分野に比べて高いです。
★★★全身性疾患
- 結節性硬化症⇒2015,2017,2020年出題
- Von Hippel-Lindau病⇒2015,2019年出題
- Birt-Hogg-Dube⇒2016年出題
症候群名を問うだけではなく、合併症を問う問題も出ている。
泌尿器だけでなくほかの分野でも出題されやすい疾患なので、合併症も含めて押さえておきましょう
★★腎動脈血管造影の問題
IVRの分野ともとれる問題もあり。
産婦人科
毎年およそ5問ずつ(2020年除く)
★★★子宮頸がんの浸潤範囲を聞く問題
2016,2018,2020年出題
MRIの複数枚の画像から浸潤範囲はどこか聞かれている
★★★未分化胚細胞腫
2015,2018,2019年出題
特徴的MRI所見が提示されている。
また問題文においては好発年齢である「10-20代」、症状「腹部膨満感」もヒントとなることあり。
IVR
1~5問と年によってかなり変動がある。
また、「IVR」分野として出題しているのか、「ほかの分野」として出題しているのか微妙なときもある(泌尿器の腎動脈造影問題のときなど)。
過去問との被りが少ないため筆記だけでの対策はとりづらい。口頭試問とも並行して勉強するほうが出題項目も被っていたりするので勉強しやすい印象。
ほとんどが血管のIVRの出題。ただし2014年では「肺生検」が出題。
比較的よく問われやすい項目は
- 塞栓物質・方法
- 血管名
です。
★★★血管奇形に関する問題
2018,2019,2020年出題
塞栓方法(2019,2020年)のほか、周辺知識(2018年)が問われていることも。
★★仮性瘤の問題
2015,2019年出題
塞栓方法が問われている
★★BRTO関連の問題
2016,2020年出題
手技名(BRTO)、手技に関する知識が問われている。
★TEVAR後のエンドリークに関する問題
2018年出題。2014年もエンドリークに関する問題が出題
2018年ではエンドリークタイプが問われている
番外編:頻出の〇〇症候群まとめ
分野横断的に出題されやすい症候群まとめです
- 結節性硬化症:肺(LAM)や泌尿器で出題。
- Von Hippel-Lindau病:主に泌尿器で出題。神経で出題されていることもあり
- Birt-Hogg-Dube:肺や泌尿器の分野で出題
- サルコイドーシス:肺や骨軟部(筋サルコイドーシス)、核医学での出題
頻出ではないものHIV関連の問題も2018年(肺),2019年(神経)で出題
まとめ
お疲れさまでした。ここで筆記試験の頻出問題と傾向は終わりとなります。
この対策ページが勉強の効率アップにつながってくれるといいなと思っています。
次回は診断専門医試験対策におすすめの本を紹介していきます。